Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
これがご遺言でございました」
「故国?」と忠三は不思議そうにきいた。
「スペイン!」とお町がすぐ答えた。「お祖父様とそうしてお母様のお国!」
「海のあなただ! 遠い国だ!」
「妾そこへ参ります」
忠三はじっと考えた。「私もお供を致しましょう」
「どうぞね、お願い致します」
「参りますとも、僕となって」
「いいえ、仲のよいお友だちとして」
「そうしてスペインでくらしましょう」
「ええ、神様にお仕えして」
「まずとりあえず江戸へ帰り、旅の仕度をいたしましょう」
「花ちゃんとそうしてネロちゃんを連れてね」
「そうして南蛮屋を片付けて」
「東海道を下りましょう」
「まず長崎へ! それから船で!」
「スペインへねえ! スペインへねえ」突然お町は眼をおさえた。「空しいものを追っていました! ああ妾は、空しいものを!」
「巻軸?」と忠三きき返した
「袴様! 袴様! 袴様!」
その声が高原をはって行く。木精が袴様! と返って来た。
「おあきらめにならなければいけません」忠三の声は病んでいるようだ。「お嬢様ばかりではございません。誰もかもそうなのでございますよ。空しいものばかり追っております」
「袴様!」