Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
と、なんという無造作だ、片手なぐりに斬って来た。受けず払わず横へそれず、猛然とした広太郎、真っ向手一杯に打ち込んだ。すなわち長短一味の太刀、三尺の剣はこの瞬間、九尺柄の槍と一変する。「おっ」と叫んだ敵の声! 「これはえらい!」と二度の声! 飛びしさったと思ったが、小路へ避けたか見えなくなった。
用心しながら進んでゆく。と、また四辻へ現われた。が人影は見えなかった。それを一方へ曲がった行く手に人影が立っていた。ちがった声で、「参るぞ!」といった。
辻ではない、狭い小路だ。振り廻すことはできなかった。左手に柄を握り持ち、右手をしのぎへそっとあて、左脇へかい込んだ。敵の心臓を真一文字、駆け入って突かん決心である。太刀は持っても無刀の精神、当流での「捷径」である。ジリジリと進む広太郎。敵はジリジリとあとへさがった。ふたたび四辻へ出た時である。
「えらい気魄だ。まずご免!」いったかと思うと敵の影、一つの小路へ駈け込んだ。そのまま姿が消えたのである。
すっかり汗ばんだ広太郎、筋張ろうとするももを揉み、しばらく様子をうかがったが、ゆるゆると小路を先へ進んだ。碁盤目小路の一郭である。