Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
患者は私の方を振り向こうともせず、俯向きになって言葉を続けた。
「それについて先生、どうか私の一生の御願いをきいて下さいませんか」
「どんな願いかね? 僕で出来ることなら何でもしてあげよう」と、答えて、私は患者の前の椅子に腰を下した。
患者の呼吸は急にせわしくなった。
「きいて下さいますか。有難いです」と、御辞儀をして「お願いというのは他ではありません、このできものを取って頂きたいのです」こういって彼は初めて顔をあげた。
私はこの意外な言葉をきいて、思わず彼の顔を凝視した。
まだ三十を越したばかりの年齢であるのに、その頬には六十あまりの老翁に見るような皺が寄り、その落ち窪んだ眼には、私の返答を待つ不安の色が漂って居た。
「だって……」
「いえ、御不審は尤もです。私は治りたいと思って、このできものを取って頂くのではありません。私の右の肩に陣取って、半年の間、夜昼私をひどい責め苦にあわせた、にくい畜生に、何とかして復讐がしてやりたいのです。先生の手で、この畜生を、私の身体から切離して頂くだけでも満足です。けれど、出来るなら、自分の手で、思う存分、切りさいなんでやりたいのです。