Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
六
「あなたは昨晩大原さんに麻酔をかけられなさったでしょう?」
「え?」といった顔は、さすがに不安の色を帯びた。
「あなたはそれから大原さんに暴行を加えられたと思って居られるでしょう?」
「…………嘘です、嘘です」
「では申しますが、大原さんは此二三年、病気のために、そういうことの出来ぬ身体だったのです。あなたに麻酔をかけたのは、あなたの髪の毛を切るつもりだったのです」
「本当ですか?」といって霧原警部を見上げた彼女の顔は急に晴れやかになった。
「本当にそうですか?」
「本当ですとも。医学上立派に証明されました!」
「では何もかも申します」
「話して下さいますか?」
「大原は私の父です!」
六
さすがの霧原警部も、この意外な言葉には面喰ったらしかった。
「驚きになるのも無理はありません」と彼女は言った。「母は私が腹にいる時分、大原に捨てられたので御座います。大原は母を捨てて馴染の芸者を入れたのです。その芸者が先年まで生きていた大原夫人でした。母は私を生んでから随分苦しい生活をして来ましたが、どんな思いをしても私は立派に育てあげて、それから大原夫婦に復讐しなければ置かぬと言って居りました。