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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

四

……何と簡単に人間一匹が片附くことだろう。

普通の時ならば、亜砒酸中毒はすぐに発見される。然し時節が時節であるから、決して発見される虞はあるまい。彼は医師の腕に信頼した。平素人殺しをする医師諸君は、こういう時でなければ人助けをする機会がない。して見れば自分は医師にとっての恩人となることが出来る。何という愉快なことであろう。などと考えて、彼は殺人者が殺人を決行する前に陥る陶醉状態にはいるのであった。

四

殺人を決意してから十日の後、亜砒酸をまぜた焼塩の罎をポケットに入れた静也は、京助の会社をたずねて、京助を何の苦もなく連れ出すことが出来た。静也は、若しや敏子が例の一件を京助に話しては居ないかと心配したけれども京助に逢って見ると、そんな様子は少しもなかった。又静也が、一しょに西洋料理を食べようと言い出した時にも、何の疑惑も抱かなかった。平凡人の特徴は物事に不審を起さぬことである。実際また彼は、物事に不審を抱くほど痩せた身体の持主ではなかった。だから殺されるとは知らずに、平気で静也について来たのである。

静也はもとより行きつけのレストオランへは行かなかった。