Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
三
その日はやはり非常に暑くて、暑いための汗と、恥かしさの汗とで、静也は多量の水分を失い、告白の最後には声が嗄れてしまって、まるで、死にともない老婆が、阿弥陀如来の前で、念仏を唱えて居るような心細い声になった。
敏子は臣下の哀願をきいて居るクイーンのような態度で、静也の告白をきいて居たが、静也が語り終って手巾で頸筋を拭うと、手にもって居た団扇で静也をふわりと一度あおって、甲高い声を出した。
「ホホホホホ、何をいってるの、馬鹿らしい。ホホホホホ」
三
落下傘を持たずに、三千尺の高空から突き落された飛行士のような思いをした雉本静也は、その夜、下宿に帰ってから、自殺しようと決心した。犯罪学者は、自殺の原因に暑気を数えるけれども、静也は暑いから自殺するのではなく、失恋したから自殺することにしたのである。尤も、彼に自殺を決心せしめた動機には、やはりコレラを数えないわけにはいかない。人がどしどし死ぬときに、何か悲惨な目に出逢うと、気の弱い人間は自殺をしたがるものである。
さて、静也は自殺を決心したものの、どういう手段によって自殺したらばよいかということに甚だ迷ったのである。