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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

ある自殺者の手記

加藤君、

僕はいよいよ自殺することにした。この場合自殺が僕にとって唯一の道であるからである。

断って置くが、僕は決して、最近死んだ某文士を模倣するのではない。世間の人は二つの自殺が相前後して発生すると、後の例を前の例の模倣であると見做そうとする。しかし、これほど馬鹿げた話はない。そんな風にいうならば、世の中のすべての出来事は模倣でなくて何であろう。

が、僕はいま、このような理窟をいっている場合ではない。けれども、僕の自殺の動機だけは、僕の最も親しい君に告げて置きたいと思う。物事を深く考えたがる連中は、さもさも自殺者の心理が他人の推測をゆるさぬような複雑なものであるようにいうけれど、少くとも僕の場合は、決して複雑なものではない。複雑などころか、簡単過ぎる程簡単なものである。

又、自殺者は、多くは何のために自殺するものであるかを知らないというものもある。然し、僕は僕が何のために死ぬかということを、はっきり知って居るつもりだ。

それのみか、僕が何のために死ぬかということを、君も恐らく、僕と同じようにはっきり知っているであろうと思う。して見れば、何もわざわざこの手記をしたためる必要はない訳であるが、いざ自殺するとなったら、僕も旧友へ手記を送りたくなったのだ。