Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
「それはいつのことですか」
「去年の十月だったと思います」
「有難う御座いました。どうかあちらで一ぷくおやり下さい」
鈴木が去ろうとすると、警部は「あ一寸」といって呼びとめ、正面の額の中の女の写真を指して訊ねた。
「この写真はどなたですか?」
「先年なくなられた大原の奥さんです」
番頭が去ると、それまで金庫の中の品を検査して居た朝井刑事は、金蒔絵の手箱を取り出して警部の前で蓋をあけた。見るとその中には、小指の太さに束ねた長さ八寸ばかりの髢が一房と、よごれた女の革手袋がかたしと、セルロイドの櫛が一枚あった。
「妙なものだね」と霧原警部はじっと見つめながら言った。「これはたしかに研究する価値があるから借りて行くことにしよう。この外に何か、変ったものはなかったかね?」
「机の中にも、金庫の中にも、別にこれというものはありません」
「それじゃ運搬人の来ない先に、死体の指紋を採ってくれたまえ」
それから警部は水野刑事に向って、中島せい子と、細工師の谷村とを、警視庁へ連れて来るよう命令し、自分は寝台をはじめ、物置部屋の中や、裏の入口の扉などを綿密に調べたが、別にこれという発見はなかった。