Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
母は心のうちで大原を呪いつづけて来ました。するとその思いが叶ってか、先年夫人はなくなりました。が、大原はまだ生きて居りましたので、母は執念深く呪って居ました。けれど、もとより具体的な方法を取るほどの元気はありませんでした。先日急病で死にましたときも、臨終まで、『残念だ! 仇きを取ってくれ』と言って死にました。そこで私は母の心を受けついで、大原に復讐しようと決心しました。断髪をしたのも、その誓いのために切った髪を棺の中へ入れたので御座います。跡始末をするなり私は上京しましたが、幸いにも大原の店で女事務員を募集する新聞広告が眼についたので早速申し出ますと、すぐ採用してくれました。大原は何かと深切にしてくれまして、昨晩自宅へ来ぬかと言いましたので、大原に近づくにはよい機会だと思って従いて行きました。大原は途中で薬局に立寄り、それから私たちは自動車で平河町五丁目まで行き、一町ばかり歩きました。洋館の裏からはいりますと、大原は我が子とも知らず浅ましくも種々の冗談をいいかけました。私は十分警戒して居りましたが、ふと額の中の写真を見上げて、私の母を苦しめたのはこの女かと思いましたら、急に種々のことが胸に浮んで悲しくなり暫くぼんやりして写真を見入って居ました。