Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
彼は直ちに警察に拘引され、とりあえず女中を呼んで見せると、この人に間ちがいないと証言したそうです。ところが彼は何をたずねても知らぬと言い張り、そんな女の家をたずねたこともなければ、この女中も見たことがないと申したそうです。兇行に使用された手拭は、被害者のものであるし、現場には指紋が残って居ないし、その他何一つ直接証拠となるものがなかったので、警察でも非常にもてあましたそうです。姓名をたずねても出鱈目をいうだけで生国や年齢をたずねても口を噤んで言わなかったそうです。とりあえず彼の指紋をとって、もしや前科者ではないかと、警視庁で調べても、指紋台帳に同じ指紋を発見することが出来なかったそうです。それから衣服の塵埃や耳垢まで顕微鏡的に検査されたのですけれど、やはり無駄に終ったそうです。
で、要するに、唯一の証拠は女中の見証だけだったのです。然し見証というものは直接証拠となり得ません。女中が着物の縞柄さえ記憶して居て、それによって男が逮捕されたのですから女中の見証は間ちがいない筈ですけれど、偶然同じ着物を着て、同じ痣を持ったものがこの世の中に、もう一人無いとは限りません。