Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
腹壁を開くと、いう迄もなく大きな子宮壁があらわれました。私は然し乍ら子宮壁には手をつけず、先ず小腸を例の如く一尺五寸ほど切り出し、その両端を糸でしばり、解剖台の左側に置かれた腸管固定装置のところへ運んで、それを吊りさげました。ブンゼン灯の火が、見様によっては、その腸管を煮るためではないかと思わせます。
男は少しくその眼を輝かせて腸管を見つめましたが、その時彼は右手をあげてその額を一撫で致しました。やがて腸管がその特有な蠕動を始めると、男の衣服が肩先から裾まで、少しばかりではあるが、たしかに一種の波動を起しました。私はじっと彼を見つめました。彼の額に始めて小粒の汗がにじみ出しました。
然し、彼は何事も言いませんでした。私は今にもその唇から、悲鳴が洩れ出ずるかと思いましたが、彼は何とも言いませんでした。彼の頬は幾分か赤みを帯んで、出たがる言葉を無理に抑えつけて居るかのようでしたが、やはり唇を動かしませんでした。私の予感は当りました。予期したこととは言い乍ら、私は失望しました。それと同時に私は、愈よ、私が彼の痣を見て計画した最後の手段を講ずべきだと思いました。