Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
驚いた喜平次は又もや夢中になって駈け出し、幸いに彼等の追跡を免れて、ホッとしながら、ある里にはいると、鶏の声がしたので、やれ嬉しやと思って道を急ぐと、傍の木蔭から、鬼の形相をした白髪の老婆が、珍しや喜平次といって抱きつき、ウンといって彼は気絶するという、怪談としては、ありふれた筋であった。
ところが、この物語の前半が、会員たちの間に話の花を咲かせたのである。即ち、女にしろ、男にしろ、一しょに寝たものが、目がさめた時、異形の化物に代って居たら、果してどんな気持がするだろうかという問題であった。尤も、会員の誰もが、自分自身にはそういう経験をしたものがないので単に想像説を述べるに過ぎなかった。
「僕はやっぱり、喜平次のように飛び出して逃げるでしょう」と新聞記者のH君が言った。
「いや、僕は、恥かし乍ら、腰を抜かしてしまうだろうと思います」と浮世絵研究家のB君が言う。
「わたしなら噛みついてやりますわ」と長唄師匠のS子さんが言った。
「大へんな勢ですねえ」と、四十恰好の医師のM氏が言った。「僕は大ていの男は気絶するだろうと思います」
「まあ」とS子さんは驚いた。「男の方はそんなに弱虫なんですか」