Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
あれですよ、あの痛みが恋しくなったんです。で、毎日、例の時刻にモルヒネを注射してもらいましたが、一二週間経つと、腕や背中のどこに注射してもらっても、その恋しい痛みを覚えなくなったんです。さあ大変私は身体中のどこが痛いかと、方々捜しまわった結果、でも、唇のまわりや、足の裏を捜しあてて痛みを味って来ましたが、それも二三日注射が続くと、もう、感じがなくなってしまいました。
とうとう、しまいには自ら注射器をとって、御無礼な話ですが、恥かしい部分の皮下へ注射したんです。さすがにこの部分の皮膚は痛みが強くて、何ともいえぬ愉快を感じましたが、それも然し四五日以上は続きませんでした。
もう痛いところは何処にもなくなってしまいました。旦那、私が、何とかして痛いところを見つけ出そうと焦燥った時の心持を御察し下さい。例の時刻が近づいて来ると、私は気ちがいのようにもだえましたが、悶えたあげく、たった一つだけ残って居る、一ばん痛いところを見つけたんです旦那、それを何処だと思います?
眼ですよ。眼ですよ。眼にものがはいった時の痛みは旦那もよく御承知でしょう。つぶれた眼には痛みはないですが、あいて居る眼は、私の欲望を思う存分叶えてくれるだろうと、私は喜び勇んだものです。