Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
出来ないのだ。まったく僕のような感情を持ったものが自殺するには屈竟な毒であるといってよい。
医者をして居る御かげに、この――を手に入れる苦心はいらない。その点には何等の考慮を費さずに死ねるのだ。然し、僕がこの――で死ぬことに決定するまでには、自殺を決心した午後七時から、凡そ五時間かかったよ。では、何故、ゆうべのうちに――をのまなかったかと君は問うであろう。いかにも、今この手記を認めて居るのは午前五時であるから、約五時間ほどの時間が空費されたのだ。然し、それは決して空費されたのではなく、その間に極めて重大なことが計画されたのだ。
しからば、僕がどんなことを計画したかというに、これは僕の意志の弱さから起こったことであるから、まことに慚愧に堪えないが、いざ――をのむ段になると、僕の手は急に硬ばったような気がしたよ。そこで――を一先ず机の上において、何故に、僕の手が服用を躊躇するに至ったかを、静かに分析考慮したのだ。
すると僕は意外なことを発見した。即ち、たとい一旦死を覚悟しても、いつの間にか生に対する執着が心の中で頭をもたげていることに気づいたのだ。もし僕が、自殺を決心した直後に死んでいたらば、生に対する執着などは起こりそうにないが、自殺の方法を考えて居る五時間のあいだに、自分では他事を考える余地はないと思っ