Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
いや、全く、変な動機もあればあるもので、現今の法医学者中、私と同じような動機で、法医学を志したものは、私以外には一人もないだろうと思って居ります。
サヂズムを持った人間は、通常血を見ることを非常に好むといわれて居りますが、私は特に血を見ることを好むというほどではありませんでした。尤も、ここでいう「血」なるものは、生きた身体即ち、暖かい身体から流れ出る血をいうのでありますが、死体から出る血に対しては、どちらかというと快感を覚えました。然し、その色を見て愉快に思うというよりも、むしろ、ねばねばした触感に心を引かれるのでした。尤も血液に触れたときよりも、組織にメスを切りこむ方がはるかに愉快でして、そのため、私の死体解剖は、どちらかというと叮嚀過ぎるほど叮嚀なものでした。従って一面から言えば、法医学的鑑定には比較的成功したといってよろしく、私の鑑定のみで、犯人が逮捕されるに至ったという例は決して少くはありませんでした。
二
ところが、御承知のとおり、たとい、どんなに完全に殺人死体の法医学的鑑定が行われ、なお又、極めて有力な犯人容疑者が逮捕されても、所謂、直接証拠のない場合には、その容疑者が自白しない限り、彼を罰することが出来ないのであります。