Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.482 Zeichen · 160 Bildschirme
三月二十九日
又違う一面
小柳君のところへ行って見ると室に青いもの一つ、花一つおいてない。
ここが生活する場所じゃないか、これじゃあんまり殺風景だ、鳥でも金魚でもおけ、気分の転換になる、気分の転換ということは大切だ、
だが小柳は、
面倒くさいよ
と云った。
これは自分も同感だ。アムンゼンが南極地で飛行滑走場を氷の上にけずらして居る間、ヒコー機の部屋をチョコレートの紙やエハガキで飾って
生きて居るところが生活の場所だ、と云ったことは、自分に深い印象を与えて居る。病気をしてから、特に根のある、のびる植物をこのむようになった。キリ花はいやだ。チェホフの心持ね。
三月二十九日(金)
フロから出て来たら、Kの細君が来て居た。いろいろ「小」の話をきき、非常にこんぐらかった恋愛があったことを知った。
例の赤いむぎ藁細工の箱からチョコレートをふるまって居ると、Yと酒匂さんの細君フランス語の先生どやどやとやって来た。「雪の下」の花束をYかって来てくれた。砂糖も手帖でなくては売らない由。サコーさんのところから角砂糖もらって来てくれた。手帖も四冊買って来てくれた。うれしかった。去年まだモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)になれず、花の高いのにびっくりし乍らこわごわ始めて買ったのが「雪の下」