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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、茶をも一つ」

小姓が、それを持ってくると、

「思い出すぞ」

呟きながら、刑部は麦菓子を小さく折って、唇へ入れながら――

「喜太夫、これはわしが幼少の好物。……久しぶりで、少年の頃の味が思い出された。そちも一つ食べぬか」

――それに答えかけて、喜太夫は、はっと、べつな方へ耳を奪られた。戞々と、大地を打ってゆく馬蹄の響きである、また、夕立のようにわらわらとすぐ塀の外を続いてゆく兵の跫音であった。

「やっ? ……あれは」

蚊遣りの側から腰を泛かしかけると、槍組頭の湯浅五助が、

「何事でもござりませぬ」

と、そこへ告げに来た。

喜太夫は、怪訝って、

「しかし、何じゃ今頃……」

「いや、後より立った京極高知と、佐々行政などの人数が、夜泊りもせす、先を争うて、行軍いたしおるのでございます」

刑部はそら耳に聞いていたが、膿の出る頬へ、白い布を当てながら、にやりと苦笑していた。

「さても、功に飢えている人々だの。淀、大坂よりこの数日に発向した者どもだけでも、七十余大名、五万余の兵と聞く。多寡が上杉の会津一城を抜くのに、ちと物々しい騒ぎではある。いずれ一先ずは江戸表で、軍議その他の余日もあろうに、夜を通してまで先を争い行くのは、功利以外の何ものでもない。