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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

三成は、じっと白絹につつまれている友の頭をながめて――

「よう、出陣されたな」

「なんで?」

「その病体を提げて」

「戦は体ではせぬ、気だな。――駄目だと思うたら、この吉継など、今日が今日、ここでも駄目になれる」

「ふム……いつも」

三成は、微笑を、頬にのぼせて、杯を取りあげた。

「ひとつ」

「茶をもらおう」

「酒は」

「やめた」

「さすがに、刑部も病には勝てず、酒までやめられたか」

「いや、……これがな」

と、刑部は、貝の肉のように赤く爛れている自分の両眼を指さして云った。

「……飲むと、これがすぐ悪うなる。飲まいでも、近頃は、めっきり見えぬが」

「……見えぬ?」

「うむ……。そこにいるお許の姿も、墨で描いたようにぼっと影しか見えぬ。治部、晴々と笑った時のお身の顔を、もいちど見たいぞ」

「そんなか……」

三成は、痛ましげに、眉を顰めた。――彼がその後の刑部を想像していた以上に刑部の容体は悪いのだ。つぶさに見ればよく歩けると思うような五体である。先刻から左の手をうごかさないでいたが、それは白布で首に吊っているためで、燈火がその顔へかかるのも忍びない気がする程、相好も以前よりくずれていた。