Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
更けゆく湖心
肉眼で見える陣地や兵のうこきだけを以て戦をする阿呆があったら、たちまち敗けじゃ。――即ち将の采配は、十方無碍の活眼でとる、活眼とは、心の眼。……吉継まだ心の眼まではつぶれん」
「なるほど」
「まだある」
語気に熱をおびてくると、その客よりは、三成の眉に、急に明るいものが冴えてきた。
「――耳だ、この耳、これも心耳としてつかえば、居ながらに、天下のうごきを聴き、兵の跫音、弾のうなり一つでも、よく三軍の配備を知ることはできる。人間、鼻がのうても、眼を奪られても案外、不自由はせんものじゃよ」
「いや、よくわかった」
「だのに、酒まで禁じて、もう四、五尺先すら見えぬ眼を、未練げに大事がるのは、これやまた、べつな理というもの。……箸を取るとか、厠へ立つとか、とかく身のまわりの些細事には、近侍の世話にもそうなりとうないでな」
三成は、あやうく涙がこぼれかけた、この友にも、紅顔の青春の日があったことをふと思って。
更けゆく湖心
「時に」
と、三成は、ことばと共に、膝をあらためた。
「このたびの儀、徳川内府の上杉攻め――お許はどう思うな」
刑部は、響きに答えるように、
「治部」
詰め寄って――