Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
四
追っつけ、楼主には後より糺明を申しつけるが取り敢ず、その客をここへ出せ」
と、喚く。
楼主は、蒼くなって、
(……誰じゃ一体)
やりてに囁くと、誰かが、
(八っさんで)
と、低声にいう。
船頭の八は、酔もさめ果てた顔つきで、やりてに引っ張られて出て来た。
「……汝れか」
と、役人達はいったが、たあいもない八の人態を見て、すこし拍子抜けした様子でもあった。
――すると、表梯子の下の大土間へ、また一名の同心が入って来て、
「池田。そこにいるのか」
と、下からいう。
「オオ、何だ」
池田と呼ばれた同心が梯子の下へ答えると、
「今、深田橋のたもとの蕎麦屋で、酒を一合飲み、蕎麦を喰って擬宝珠の方面へ立ち去った一名の浪人者がいるという報らせだ。――すぐ来いっ」
そう聞くと、同心たちは、にわかに色めきを革めて、八は、楼主に預けおくといいのこして、
「そうかっ。――さては夕刻チラと見かけたあの胡散な男かも知れぬぞ」
一斉に梯子段を降り、そして争って外へ駈けて行った。
四
後で、連れの八に、不実だと恨まれようがどうなろうが、巻ぞえを喰ってはたまらないと思ったのである。
権十は一人で裏口を探し、夢中で逃げ帰って来た。