Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
四
――それは後の事だが、その時、蜘蛛六が、法螺をふくなと嘲うと、猿はぬっくと立って、
「法螺だもンか。お前らだって同じことだ。人間はみんなお天道様の子だ。心のなかに、太陽を持っている。気がつかないだけの事だ。暗いというのは眼だけの事だ。心にある太陽に気がつけば、暗いことなんかちっともない。明るい明るいとても明るい! わけてこの牢屋の中には、悪人なんか一人もいやしない! こんな明るい所にいて、暗いとは一体どうしたものだい。あはははは」
何が愉快なのか。猿は手をたたいて笑った。
皆、呆ッ気にとられて、猿の顔を見まもったが、その日から何だか少しずつ、ここの闇が明るくなり出した。
四
黙っていれば十日でも黙っているが、喋舌り出すと、猿は、いくらでも喋舌ってやまなかった。
また、何でも知っていた。
仏法の話をすれば、下手な説教坊主ぐらいはやるし、諸国のうわさをすれば、越後はどう、甲府はどう、小田原はどう、この岐阜の稲葉山はこうと、人情風俗、物価の高低から、百姓の生活向きまで――わけて自分が百姓生れなので、最も詳しい。
また。
駿河の今川家は、財政は豊かだが、大将の今川義元始め、士がみな、京の公卿風をまねして遊惰だとか。