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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

あっさりと学生風な身なりをしている伸子の顔の上にじっと眼をすえて、同じ言葉がくりかえされた。男のその眼の中には、日ごろ客たちに向ける愛想よさのうらをかえした冷酷ないやな感じがあった。

「まだきめていない」

答えながら、伸子はカウンターにずっと近よった。

「しかし、あなたのその質問は、普通、ホテルのマネージャーとして、客に向って試みない質問ですよ」

それに答えず、ぶっきら棒に、

「あなたは、うちの食堂で食事をしない」

そう云った。

一度昼食をたべたことがあったが、ここの料理は、こってりしたソースで肉や魚の味をごまかしてあって、伸子の気にいらなかった。

「それは別の問題です。あなたのホテルは、ホテルでしょう? 食事付下宿じゃない。入口には、ホテル・モンソー・エ・トカヴィユとありますよ」

五十がらみの男の胆汁質な顔に、むらむらした色がのぼった。

「わたしたちは、あの部屋からもっと儲けることができるんです」

話は露骨で、強引になって来た。丁度ホテルは午前九時から十時の朝飯の刻限で、カウンターのすぐ横にある狭い食堂の中には、女客の方が多い泊り客たちが食事をしていた。