Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子の荷物が往来にほっぽり出されることもなく、七階の屋根裏部屋を伸子のカギであけたとき、先ず目をやる枕の上の白い猿のおもちゃにも異状はなかった。

だからと云って、彼らが伸子を出て行かせようとしていることは同じだった。マネージャーの細君である非常に肥った女が、捲毛をたらした頬に愛想笑いを浮べて、ある朝、伸子のそばへよって来た。

「こんにちは、マドモアゼル」

「こんにちは」

マダムとつけるべきところだろうが、伸子にはそう云えなかった。

「マドモアゼル、お部屋は見つかりましたか?」

「いいえ」

それをきくと細君は、自分の胸の厚さでおすようにして伸子をエレヴェーターのものかげへひきよせ、指環のはまっている片手を伸子の腕の上において、ひそひそ声で半ばおどすように云った。

「マドモアゼル、おわかりでしょう? お部屋を早くおみつけなさい。わたしは、毎日、うちのひとをなだめているんですよ、あのかたは教育のあるマドモアゼルなんだからって」

「ペレールに住んでいるわたしの家族が十月末にはパリから出発します、それと同時に、わたしも引越しましょう」

「おお! マドモアゼル、それは、わかっていますよ」