Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

恭介と自分が偶然に同じ花を描き、それが最後となった恭介の仕事とともに自分も入選したことを、須美子はただ偶然と思えないらしかった。

「磯崎も、これでいくらかくにの御両親におめにかけるものができましたわ」

こんな風で、その日はなお更、ペレールへ来ているのが須美子ひとりではないようで、伸子は心をくばって、しんみりしたまどいの主人役であろうとねがっていた。

湯あがりで、大きい目の上にきりそろえた厚い前髪が、一層黒く輝いている須美子をかこんで緑茶をのんでいるときだった。玄関のベルが、短く、力のはいった響きかたでリ・リ・リと鳴った。伸子は、おや、と耳を立てた。泰造のベルのならしかたそっくりだった。

つづいて、

「オ、ラ、ラ! ムシュウ、エ、マダーム!」

賑やかなマダム・ルセールの歓迎の声がおこった。

「ちょっと失礼、ね」

やっぱり父と母とだった。多計代は伸子の顔を見ると、

「お客さまかい?」

そう云いながら、持っていた例のコバルト色の旅行用バッグをわたした。

「つや子さん来ておくれ」

多計代は、客室の外の廊下を素通りして寝室へ行った。泰造は、客間で須美子にあいさつし、寝室と食堂の間を、落付かなそうに出入りしている。