Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
しかし、いつまでも気持わるがっている伸子にこだわらず、蜂谷は、
「その辺で休みましょう」
人通りの絶え間ないサン・ミッシェルへ出た。
「きょう、僕は一つ提案があるんだ」
蜂谷がいまいるクラマールの部屋をかわるから、そのあとへ伸子が来ないか、というのだった。
「あなたはどこへいらっしゃるの?」
「僕は、その家のじき近所で、勉強にはもってこいの室を見つけたんです。画家の未亡人の二階で。そっちの方がずっと勉強するには落ちつける。もっとも部屋そのものは粗末だが、かえって僕にはいいんだ」
伸子は、きくような眼で蜂谷をみた。いつから蜂谷は引越すことを考えたのだろう。この間うち伸子の部屋さがしがはじまったとき、あちこち歩いたり、あれこれ喋ったのに、そんな話はひとこともされなかった。
「――ちっともお話に出なかったのね。急にそういうことになったの?」
「そうじゃない、僕は、前からさがしていたんだ」
クラマールの家の室代は、パリの物価があがるにつれて、蜂谷が住むようになってからも二度あがった。今年の冬は、燃料が急にたかくなったからという理由で、十一月からあとは新しい価を請求されているのだそうだった。