Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「僕はそう思わない。――僕が思わないんじゃなくて、実際にそんなもんじゃない。――佐々さん、何をおそれているんだろう、僕にはわからない」
蜂谷は伸子の腕をとって歩きはじめた。
「佐々さんは全く自由なんじゃないか」
「そうよ」
自分の心を見張っているように、伏目になって歩きながら、ゆっくりした二人の歩調にあわせて伸子が答えた。
「それは、わたしは自由だわ……だけれど、わからないことは、やっぱりわからない」
「何がわからなくちゃならないのさ」
「――わたしにはわたしの気持。あなたには、あなたのきもち」
「そんなことは、もうわかりすぎてる。僕は毎日毎日考えつづけたんだ」
「――なんて?」
「佐々さん、どうしてきみはそんなにいつものきみでなくなろうとしているんだろう」
恋とはちがう衝動、むしろ憎みに近かったとっさのふるまいが自分と蜂谷との間にある――接吻という形にあらわされて――。蜂谷良作に会うことを拒まず、肩を抱かれるようにして田舎道を歩いているけれども、伸子の心のどこかはいつも目を明いていて、これは恋でない、と云っている。ああ、伸子さんは接吻のしようもしらない! そのひとことが、あんなに自分を猛々しくした。