Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「だめよ! 来るじゃないの!」
さいわい、物売女をとり巻いた人々は、真似の泣きじゃくりをしている女とまだ伸子たちとの関係に注意をむけていない。二三間、現場をはなれると、はじめて素子も自分がひきおこしたごたごたの意味がわかったらしく、腕をひっぱる伸子に抵抗しなくなった。二人は、出来るだけ早足に数間歩くと、どっちからともなく段々小走りになって、最後の数間は、ほんとに駈けだして、ボリシャーヤ・モスコウスカヤの前の通りまで抜けた。気がつくと、一人の身なりのひどい男の子が、かけだした伸子たちのわきにくっついて自分もかけながら、
「エーイ、ホージャ!(ちゃんころ) ホージャ!(ちゃんころ)」
と、囃したててはねまわっている。しかし、ここでは、それに気をとられる通行人もなかった。
伸子たちはやっと普通の歩調にもどった。そして、青く塗った囲いの柵が雪の下からのぞいている小公園のような植込みに沿ったひろい歩道をホテルの方へ歩きはじめた。このときになって、伸子は膝頭ががくがくするほど疲れが出た。力のかぎり素子をひっぱった右腕が、気もちわるく小刻みにふるえた。伸子は泣きたい気分だった。