Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「――つかまらせて……」

伸子の方がぐったりして、散歩の途中から気分でもわるくしたというかっこうで二人は室へ戻った。

帽子をベッドの上へぬぎすて、外套のボタンをはずしたまま、伸子はいつまでもベッドに腰かけて口をきかなかった。素子も並んでかけ、タバコを吸い、やっぱり何と云っていいか分らないらしく黙っている。伸子はまだいくらか総毛立った頬の色をして、苦しそうに乾いた唇をなめた。

「――お茶でも飲もう」

素子が立って行って、茶を云いつけ、それを注いで、伸子の手にもたせた。コップ半分ぐらいまでお茶をのんだとき、

「ああ、そうだ」

素子が、入口の外套かけにかけた外套のポケットから、往きに買った砂糖菓子を出して来た。二杯めの茶をのみはじめたころ、やっと伸子が、変にしわがれたような低い声で、悲しそうに、

「ああいうことは、もう絶対にいや」

と云った。

「…………」

「手を出すなんて――駄目よ! どんな理由があるにしろ……まして悪態をついたぐらいのことで――」

素子は、タバコの灰を茶の受皿のふちへおとしながら、しばらくだまっていたが、

「だって、人馬鹿にしているじゃないか。なんだい! あのキタヤンキって云いようは!」