Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「めずらしいのね、どこへ行くの?」

「行って見りゃ、わかるよ」

素子は芸術座の前の通りを真直に行って、商業地区の方へ歩いた。伸子は、国立交換所へ行こうとしているのかと思った。文明社が、もう金を送ってよこさないことはたしかになった。いま国立銀行にあずけてある金がきれれば伸子はウィーンで買った外套や靴を売ることにきめていた。去年まで着た黒い外套とその裏についている猿の毛皮も売っていいと考えていた。そういう物品を正直な市価で交換するために、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の人々は国立交換所を利用しているのだった。

ところが、素子が開けてはいった立派なドアは、国立貴金属販売店だった。案外の思いで、のろのろとついてはいった伸子にかまわず、素子は陳列台の前にかけて、銀製のスープ用大型スプーン、中型スプーン、コーヒー用小型スプーンを店員に出させた。外交団関係の婦人だと思ったのだろう。店員は、丁寧なものごしで、素子の選び出した簡素なデザインのスプーンを三とおり、半ダースずつ、わきへとりのけた。そこまできまってから、素子は伸子に、

「やっぱりイニシァルをつけといた方がいいだろう、ね、ぶこちゃん」