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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「臨時は、臨時の手当てがあるんでしょう? あなた、いくらとるの?」

女は、すばやい視線で、伸子の質素な白いフジ絹のブラウスを見た。

「いくらでもありゃしませんよ」

だまっている伸子に、その女は、ざらっとした声で、あたりまえに云った。

「いくらにもなりゃしないけれどもね、この頃じゃ、ずっとつづけて仕事があるんでね。それが大きいんですよ。並木道をぶらつかないでも食べて行けるってことだから……分るでしょう?」

モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で、並木道をぶらつく、と云えば売笑をすることだった。――

伸子は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の生活の深みをさぐっている自分の理解の石づきが、この女の言葉で、ごく底のたしかなところへ触れたと感じた。五ヵ年計画。社会主義建設。何かしら上へ上へと聳え立って行くような立派さとしてだけうけとられがちだけれども――「風呂」を見ればマヤコフスキーも、そう感じていたにちがいなかった。あるいは、そう感じるべきだと考えさせられていたのかもしれないが――社会主義の最も強固で広い基底は夜勤の臨時皿洗いの女が、もしかしたらいくらか病毒におかされている彼女のざらっとした声で云った数語の上にあった。