Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
その和一郎にしろ、先月、伸子がきいたオペラについてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の劇場広場のエハガキを書いてやったことにはふれていないで、今年は美術学校も卒業で卒業制作だけを出せばいいから目下のところ大いに浩然の気を養ってます、と語っている。泰造はいそがしさにまぎれてだろう、伸子が特に父あてにおくったトレチャコフ美術館の三枚つづきのエハガキについて全く忘れている。
多計代の文章の冒頭にだけ、この間は面白いエハガキを心にかけてどうもありがとう。一同大よろこびで拝見しました、とあった。けれども、それはいつ伸子が書いたどんなエハガキのことなのか、そして、どう面白かったのか、それはかいてなかった。膝の上にいまこの手紙をひろげている伸子が、もし、それはどのエハガキのことなの? ときくことが出来たとしたら、多計代はきっとあのつややかな睫毛をしばたたいて、ちょっとばつのわるそうな顔になりながら、あれさ、ほら、この間おくってくれたじゃないか、といいまぎらすことだろう。
みんなの手紙の調子は、伸子にまざまざと動坂の家の、食堂の情景を思い浮べさせた。
そして伸子は、ふっと笑い出した。