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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

資料

第一章

一

左手に高く停車場の円屋根が見えるモンパルナス通のプラタナスに六月の日光が降りそそいでいる。街上には色彩と動きと音響とが溢れている。柔かい新緑の並木と歩道との間に赤と白との縞や、黄と藍縞の日よけが張り出されている。地下鉄の入口には、桃色だの黄色だの白だののもういらない切符が紙屑となってすてられていて、大きく白黒に抜かれた字と派手な図案の広告がいっぱい貼りめぐらされた広告塔そっくりの共同便所の下から流れ出した穢水が陽気なさわがしい街の一隅にかすかなアンモニアのにおいをただよわせた。

パリのこの一角で、生活は率直な活気と気分をもって溢れている。車道へ大きい枝をのばしたプラタナスの下の共同便所へ、ひっきりなしに出入りする者があり――それは男たちばかりだった――メトロからあがって来た人々は、いらなくなった桃色や白の切符を無頓着にその辺へすてて、さっさとそれぞれの方向に散っている。午後一時すぎから二時すぎにかけて昼飯時刻のモンパルナス通の喧騒は、並木の新緑やその下へ色とりどりに張り出された日除けなどでやわらげられている。パリでタクシーはたった一つの合同会社に独占されていた。