Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
と、つぶやいた。
「磯崎が、いつも申しますわ。わたしの絵は、まるで理論がなくて描くから仕様がないんですって――まだ絵じゃないんですって」
「それで、あなた描くのをやめているんですか」
素子がそういう調子のうちに、伸子は自分も磯崎に対して感じる漠然とした苦々しさがふくまれているのをきいた。
「じゃあ、わたしも絵と云えない絵のすきな人なんだわ。わたしはたいへん須美子さんの絵が好きよ」
「それでいいじゃないか」
意味のふかい一瞥で伸子を見て、素子が云った。
「誰だって、可能性からはじめるんじゃありませんか。わたしのみるところじゃ、現代の巨匠と云われる人たちことごとく、可能性に立って試みをしているというか、或は、試みの可能性の限界をためしているとでもいうしきゃないと思いますがね。――どうして、須美子さんが、自分なりに描いていちゃいけないのかな」
須美子は黙っていたが、また子供を寝かしてある隣室へ行って、八号ほどの一枚の絵をもって来た。縁なしのキャン※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ァスを自分の絵に重ねて椅子の上に立てかけた。
「――磯崎の絵です。――この間大体仕上げたばかりです」