Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
二
素子の封鎖されている性のなかには、伸子が自分に感じるより醗酵力のつよい欲望があり、しかもその欲情の激しさと同じ程度のはげしさで男の性が反撥されている。いつか素子は、自分からその矛盾の輪を破るだろうか。伸子はそのときがみたいと思った。素子の上にそのときを見たいと思う心の底潮に、意識されないかすかな遠さで、自分の生活もそのときはちがった展開をするだろうという予感がきざしていることは心づかずに。――
二
レーニングラードから近郊列車で小一時間ばかり行ったところに、もとの離宮村があった。エカテリナ二世が、バルト海に臨んだ水の多い首都から、ひろびろとしたロシアの耕野の眺望を恋しがり、自然の野原と森の眺めをなつかしがったその好みに、いかにもあった地勢の土地だった。平らに遠く地平線がひらけて、ところどころに天然の深い森がある土地を更に人工の大公園で飾って、バロック風の離宮をこしらえた。
一九一七年の十月、ニコライ二世が退位してから、シベリアへ出発するまで暮したのも、そこの離宮であった。ツァールスコエ・セロー(皇帝村)とよばれていたその離宮村は、その後デーツコエ・セロー(子供の村)と改称され、格別そこに子供のための施設ができているわけではなかったが、レーニングラード近郊の遊園地になっていた。