Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子はそのくだりをよんで恐ろしいような気がした。多計代の悲しみかたは、泰造や伸子のむきだしのおどろきや涙と何とちがっているだろう。死んだ保を崇高なものとして、保のその心は自分にだけわかっていたというように、とりみださなかった母としての多計代の態度は伸子を恐怖させた。多計代が悲歎にとりみださなかったということは、伸子に、口に言えない疑惑をもたせた。多計代は、いつか保が生きていなくなることをひそかに覚悟していたとでもいうのだろうか。その覚悟をもちながら、暑くて寂しい八月の日に保を一人にしておいたとでもいうのだろうか。清浄無垢な保にふさわしい母として荘重にふるまおうとしている多計代のとりなしは、父の手紙をとおして伸子に胸のわるくなるような母の自己満足を感じさせた。かあいそうな保を抱きとって死ぬまで生きた心を劬り泣く母はいなくて、場ちがいに保をあがめ立て、その嵩だかさで人々の自然な驚愕の声を圧しているような母の姿は、伸子に絶望を感じさせた。伸子は、素子がそこを読み終るまで、うつろな眼をひらいて自分の前を見ていた。

手紙の最後に、泰造は、伸子が帰朝しないと電報したことに対して意見をかいていた。