Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

フロムゴリド教授は、その上に鼻眼鏡ののっている高い鼻をもち、卵形にぬけ上った額を少し傾けて、

「まだ痛みますか?」

と、伸子の手をとり、脈をかぞえた。その声は権威のある鼻声だった。

「ひどく痛みます」

「お正月に酒をのみましたか?」

「いいえ、一滴も」

「家族の誰か、癌をわずらっていますか」

「いいえ、誰も」

「ハラショー」

フロムゴリド教授は椅子から立ち上って、伸子に、

「じきましになりますよ」

と云い、わきに立っていた助手のボリスにダワイ何とかとロシア語にドイツ語をまぜて指図した。

伸子は、一日に二度湿布をとりかえられ、湯たんぽを二つあてて仰向きにベッドに横たわっている。となりのベッドにいる女は糖尿病患者だった。肉の小さいかたまりが食事に運ばれて来たとき、その女は、ベッドに半分起き上って、皿の上のその肉をフォークでつついてころがしながら、

「肉のこんな切れっぱじ!――どこから滋養をとるんだろう」

憎々しげに云った。それはやっぱり入れ歯をしている声だった。アトクーダ・ウジャーチ・シールィ?(どこから力をとるんだろう)ウジャーチという言葉には奪うという意味がある。どこから力を奪う――生きるために。