Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
やがて、佃の本籍地の役場で離婚手続きはされなければならないとわかったときの新しい不安。――ヴィヤトカ・レースのショールをかぶって、雪明りのさしている静かな病室に横たわりながら、あの暗澹としたこころもちを思い出すにつれ、伸子は、女だけがあれほどの恐怖をくぐって生きなければならない社会で、結婚の公然性など、いうも偽善だと思った。
ナターシャは美しい。若い強壮な動物がはらんでいるような荘重な純潔な美しさにみちている。そのような彼女の美しさは、ナターシャが彼女の現在あるすべての条件において公然と存在しているからこそ、日ましにはたん杏色の濃くなる彼女の頬の上に、日ましにふくらむ看護婦の白前垂の上に輝き出ているのだ。病室へ来て、赤い頬やエプロンの上に澄んだ雪あかりをちらつかせながら無心に何かしているナターシャを眺めていて、伸子はもうすこしで、
「あなたがたにとってソヴェト権力がどういうものだかということはほんとによくわかるわ」
と云いたくなることがあった。そんなとき伸子は黙ったまま白いショールと白い枕との間で、東洋風な一重瞼の黒い眼をしばたたきながら辛辣に考えるのだった。