Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
暗くせつなくとりつめて、髪を乱し、伸子にくってかかっている女に、伸子は自分が予期しなかったおちつきで、
「あなたがわたしのところへ来たのは、よかったですよ」
と云った。
「あなたは、本当のことを云いましたよ。たしかにあなたの条件とわたしの条件とはまったくちがうんです。――わたしはひとりもんだから」
つい体に力がはいって、重苦しくなった右脇に手をあてて圧しながら、伸子は説明した。
「しかし、お医者があなたに云ったことについて、わたしの責任はないのよ。わたしはまるでそのことは知らなかったんだから。――あなたから、いまはじめてきかされたんだから。そのかわり、あなたのことについて、わたしは誰からもひとことも話されていませんよ」
煮えたぎるようだった女のいらだちとぼんやりした屈辱感は、伸子のその話しぶりでいくらかずつ鎮められて行くらしかった。伸子のねているベッドの裾のところにつっ立っていた女は、すこしらくな体つきになって肩からひっかけている外套の前を押えながら衣裳箪笥にもたれた。伸子は、
「腰かけなさい。立っていることはあなたの病気にわるいんです」
と云った。
「あなたは、あんまりどっさり働かなけりゃならなかったから病気になったんだから……」