Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
女は、のろのろした動作で長椅子にかけた。彼女は素足に短靴をつっかけている。いかにも、もう我慢ならない、と病室からとび出して来たらしく。ひとめ見たときはこわらしい彼女の顔にある正直ものらしい一徹さと生活にひしがれたぶきりょうさが伸子の心にふれた。ふっと伸子は、この女の亭主には、もしかしたらほかに若い女があるかもしれないと思った。
「あなたの旦那さん、あなたの見舞に来ますか?」
「あのひとにどうしてそんな時間があるものかね、会議! 会議! で。いつだって、夜なかにならなけりゃ帰ってきないよ」
「党員?」
「ああ」
「あなたは?」
女は腹立たしそうに、ぶっきら棒に答えた。
「わたしは党員じゃないよ、組合の代議員さ」
「結構じゃないの。デレガートカ(代議員)ならあなたも自分の病気について、道理にかなった考えかたをもたなくちゃならないと思うわ」
「そりゃそうさ。――だけれどね、まあ見ておくれ」
女は自分の外套をひろげ、更に病衣をはだけて伸子に清潔でない自分の胸をみせた。
「このわたしの体のどこがむくんでるんかね、それどころか、やせちまったわ、ろくなもの食わないでいるから」