Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
いまその街すじには、二人五人と遠ざかってゆくまばらな人影があるばかりだった。伸子は、見とおしのきくその路面の明るい空虚さから鋭い悲しみを感じた。あの行進の人々はどこへ行ってしまったのだろう。そして、あの揺れていた赤旗は?――ほんの数節うたわれてすぐとだえたインターナショナル。とだえた歌声も群集の頭の波の上にゆらいでいた赤旗のかげも、伸子にすればまだその空の下に残っていそうに思えるのに、その街すじにあるものとては遠くまでつづくからっぽさである。伸子は思わず深く息を吸いこみ、自分の鼻翼のふるえを感じた。これがワルシャワのメーデーだった。ちらりと見えたと思ったらもう散らされてしまったワルシャワのメーデー。行進して来た人々は何百人ぐらい居たのだろうか。伸子にその見当がつかなかったが、あのようにして赤旗の下にかたまって進んで来た人々が、こんなにす早くカーキ色連中と同じように一人のこさず広場のまわりから姿を消したのは異様だった。伸子にはそれが、むごいしわざにならされた人のすばしこさのように思えた。彼らは、おそらく赤旗をかくして迅く走らなければならなかったのだ。