Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子の主観でつつまれるにしては、事件にしろ見聞にしろその規模が壮大であり、複雑であり、それ自身としての真面目な必然と意義をもっていた。旧さと新しさが異様に交りあったモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)生活の歴史的な立体性は、伸子の全知識と感覚をめざましく活動させ、なお、もっともっとと、生きる感興を誘い出しているのであった。そういう熱中で、おのずと素子に迫ってゆく伸子を、素子は、絶えず自分から一定の距離に置こうとしているようだった。
新聞の場合ばかりでなかった。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へついて三四日したとき、どうかして素子の外套のカラーボタンがとれて失くなってしまった。素子は、
「ぶこちゃん、見物がてら買っといでよ」
と云った。
「あらァ、それは無理よ」
伸子は冗談のように甘えて、首をふった。
「ボタンなんて言葉、ベルリッツの本に出ていなかったわ」
「そのために字引もって来たんじゃないか。ひいて御覧」
そう云われるといちごんもなくて和露の字引をひいて、伸子はその字を見つけ出した。
「あったろう?」
「あったわ」
「それで、いいじゃないか。