Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
この奥さんの方がいくら姿勢がいいか。みんなもそういう風にシャンとしているものだ、と云った。多計代は、仮装のとき、その夫人に向って佐伯という人が、奥さん、何てよく似合うんでしょう、僕、踊りたくなったと云っているのをきいていた。あれやこれやが、多計代の感情には男女の享楽的な雰囲気として、つよく刺戟的にうけとられた。そして、船室へかえって小枝までしかられた。日本の女は、男にこびるようにばかりしていて、みっともないと云って。
「わたし、そのときは何のことをおっしゃるのかわからなかったけれど、あとから思いあたったわ。いつだったか、わたしが珍しくおかあさまのお云いつけで日本服で食堂へでたことがあったでしょう。あのとき佐伯さんが、わたしにはずっと洋服の方がいいなんて云ったの、それを覚えていらしたのね」
そういう話をする小枝の柔かな若い声のなかには、人生をたのしみたい無邪気なはげしい欲望が響いた。病弱だのに無理な海外旅行に出て来た多計代が、不健康なために自分からうばわれる楽しみの一つ一つに彼女流の道徳的な解釈をつけて、良人の泰造や若いものたちに不自然な心の重荷を負わせることになっているのがよくわかった。