Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
六
六
ガラッ八の八五郎は、近頃はもう、すっかり夢中でした。天霊様に入り浸って、二度と平次のところへ帰る気さえなくなったのでしょう。時々は祈祷所に泊り込んで、掃除をしたり、取次に出たりしております。
緋の袴をはいた、四人の少女のうち、一番可愛らしいのはお蔦といって十八、先達九郎次の姪とわかりましたが、人目が多いので、うかうかガラッ八の相手になって、話などをしてはおりません。
が、この少女の美しい眼から、ガラッ八は何かしら訴えるようなものを感じました。何を一体言おうとするのでしょう。
ある日の朝、小さい庭の掃除をしていると、
「おや?」
沓脱の側の砂の上に、まざまざと文字が書いてあるのです。
――ここほれ、ワンワン――
お伽草紙の花咲爺の文句を、ガラッ八はしばらく見詰めておりました。が、箒の柄を返してそっと掘ると、土の中から出て来たのは、山吹色の小判が一枚、二枚、三枚、――数もちょうど五枚、燦然としてガラッ八の掌に光ります。
その五両を投出して、その晩の斎に、ガラッ八が加わったことは言うまでもありません。
祈祷や和讃が済んで、裏の部屋へ行くとき、お蔦はそっとガラッ八の手に紙片を握らせました。