Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「いえ、おっ母さんの御心配は御尤もですが、私は親分のお力を信じ切っております。高田お薬園の手入れの時だって、お茶の水の空家に吊された時だって、親分は見事に救って下すったじゃありませんか。ね、おっ母さん、どうぞ私を、今晩にも親分のところへやって下さい」

母親の膝に手を置いたお静、それを揺すぶりかげんに、少し甘える調子でせがんでおります。平次はこの健気な娘の心意気に打たれて、両手を合せて拝みたいような心持で、黙って差控えました。

六

その翌々日、平次はお静と祝言の盃をあげることになりました。仲人は笹野新三郎の用人、小田島伝蔵老人、いずれ春には輿入れするはずで、ボツボツ支度を心掛けていた矢先ですから、貧しい調度ながら、一と通りのものは揃っております。

お静の家から平次の家までは、ほんの二三町、駕籠にも車にも及びません。平次とお静が強って断るのも聞かず、小田島伝蔵老人夫婦の外に、平次の朋輩やら子分やらが二三人、花嫁姿のお静を遠巻きにして、平次の家に送り届けたのは、その晩のまだ宵の内でした。

ガラッ八が居たら、さぞ頓興な声で、一座を賑わしてくれるだろう――と思うと、見えざる相手の仕掛けを待って期待と闘争心に燃える平次の胸にも、何かしら一脈の淋しさが冷たい風のように吹き入ります。