Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「親分、お早う」
ガラッ八の八五郎は、顎をしゃくってニヤリとしました。
「何がお早うだい、先刻上野の午刻(十二時)が鳴ったぜ、冗談じゃない」
銭形の平次は相変らず、狭い庭に降りて、貧弱な植木の世話に没頭しておりました。
「親分の前だが、今日は嬉しくてたまらねえことがあるんだ」
「それで朝寝をしたというのかい、呆れた野郎だ、昨夜どこかで化かされて来やがったろう」
「へッ、そんな気障なんじゃありませんよ、憚りながら、太閤様と同じ人相なんだ、金が溜って運が開けて、縁談は望み放題と来やがる」
八五郎は拳固で鼻を撫であげます。
「大きく出やがったな、八」
「ね、親分、八卦や人相見なんて、本当に当るんでしょうか」
「そりゃ当るとも、八五郎が太閤様に似ているなんざ、凡人の智恵で言い当てられることじゃねえ」
「――ですかね」
「縁談が望み放題なんと来た日にゃ、たまらないね、八」
「なアに、それほどでもねえ」
八五郎はまだ顎を撫でております。
「誰が一体そんな罪なことを言ったんだ」
「両国の玄々斎ですよ」
「何だ、あの山師野郎か」
両国の広小路に、葭簾か何か張って、弟子の一人も使っている人相見、その頃、江戸中の評判男で、一部からは予言者ほど尊敬され、一部からは大山師のように言われていた玄々斎でした。