Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
三
三
ガラッ八は堅気の職人になりすまして、東両国の天霊様に乗込みました。
神田では顔の通った八五郎ですが、橋一つ越すと縄張違いで、さすがに長い顔もあまり通用せず、それに、持って生れた間延びのした造作が役に立って、近頃開いた祈祷所の者などは、滅多なことでこれを岡っ引と見破るはずもありません。
どうかしたら、岡っ引と知っているくせに、甘く見て玄関の関所を通したのかもわかりません。下手に木戸を突いて、疑いの種を蒔くよりは、岡っ引でも手先でも無差別に包容して、信心の力で懐柔する方が賢いと思ったのかも知れなかったのです。
ともかくガラッ八は、何の支障もなく祈祷所に通されました。元は見る影もない長屋だったそうで、その後幾度か取拡げたり改築したりしましたが、江戸中の流行神にしては思いの外の手狭な造りで、その拝殿も、充分荘厳ではあるが、しかし、決して度を過して華美なものではありません。
「お賽銭や奉納は大変なものだそうですが、先達様がよく出来た方で、貧乏人に施しをするから、祈祷所もこれで結構だというそうですよ」
溜りの大火鉢を囲んで信心の一人らしい中年男がそう言うのを、八五郎は鼻の穴を掘りながら聞いておりました。