Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
二
「八、そいつは棄てておけないぜ」
「ヘエ――」
「手前のためにはたった一人の叔母さんだ、間違いがなきゃいいが――」
「ヘエ――」
八五郎の無関心さ。
二
その頃、江戸中の評判は、東両国の元町に、祈祷所を設けている、天霊様という流行神で、誠心こめて祷りさえすればいかなる難病も平癒疑いなく、富貴栄達も、心のままと言い触らされました。
ツイ一年ばかり前に開いた、ささやかな祈祷所ですが、信心の善男善女絶間もなく、五両以上の喜捨をした者には、奥殿の参籠を許して、この世ながらの極楽浄土を拝ませるという噂。その極楽浄土の素晴らしさは、厳重に口止めされているにも拘わらず、実見した人の口から伝わって、江戸中誰知らぬ者もない、大魅力だったのです。
極楽浄土は、金さえ積めばどんな凡夫にも手軽に拝まれました。そのうえ持っている身上を根こそぎ捧げる篤信家は、九州にあるという天霊様の本山を拝ませた上、そのまま、極楽安楽国に大往生を遂げさしてやるというのでした。
一番先に飛付いたのは、この世の快楽に見切りをつけた人達――鰥寡孤独――でした。夫に死に別れた女房、子供に先立たれた老母、身上や健康や、希望を喪った若者など、金があって希望のない人は、蜜に集まる蟻のように、元町の祈祷所に集まって来たのです。