Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
家から家と伝わって、町一つ通り抜けようとは、銭形平次の考えも及ばなかったでしょう。
「駕籠は?」
「用意が出来ているよ、抛り込みさえすりゃいいよ」
「心得た」
物馴れた調子で、眠りこけたガラッ八を受取った男は、入口の土間に据えた、乗物の中にそっと入れました。
「それよ」
「合点」
垂をおろすと、中には医者の玄道が乗っていることになるのです。石原の利助の子分が、五六人網を張っている中を、駕籠は掛声もなく、向島の方へ飛びます。
落着いた先は小梅の大きな寮、隅田川から水を引いた池の上には、見事な遊山船を浮べて、春宵一刻を惜しむの長夜の宴を、昨日も今日も開いているのでした。
名義は日本橋の呉服太物問屋、大川屋甚兵衛の寮、下女、女中、お小間使まで二十八人、その大部分は川一つ隔てた里の豪勢にも劣らぬ装いを凝らして、夜ごとに代る夢心地の客を迎えるのです。
ガラッ八はここへ来ると、眼が覚めるのでした。いや、実は先刻から眼が覚めていたのです。いろいろ工夫を凝らした挙句不老不死の霊酒というのを、懐中の手拭に呑ませて、恥も外聞もなく眠りこけた振りをしているのでした。
「それ、お客様お目覚め」