Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

隙洩る光線で一面の埃は見えますが、瓶も何にもあるわけではありません。

「瓶は?」

「こちらに出してあります」

流しの前に据えたのは、一升入りほどの塩瓶、蓋も封印もケシ飛んで、浅ましく空っぽの中を、天窓から落ちる微光にさらしております。

「お前さん、お神籤は大凶だよ、人の気も知らないで、本当に」

ブリブリしながら帰って来たのは、丑松の女房のつもりでいるらしいお徳です。三十前後、醤油で煮〆たような大年増ですが、どこか気の強そうなところがあって、丑松を取って押える貫禄は充分です。

「大凶は吉に変るというぜ」

「だって癪じゃないか、四文払って、大凶の籤なんか引かされて」

お徳はお勝手口からヌッと入ると、出合頭、ガラッ八と鉢合せをするほど近々と対面してしまいました。

「お上の御用を聞いていらっしゃる親分さんだよ」

と丑松。

「おや?」

お徳は面喰らって、しばらくは挨拶も忘れた様子です。

「三日の間、この家を明けたことはないのかえ」

ガラッ八は平次譲りの事務的な調子で、その驚いたところを突っ込みました。

「私は飴を売るのが商売だし、お秋さんは他に稼業があるし、夜も昼も家を明け通しですよ」