Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
「…………」
「あんなイヤな思いをするくらいなら、針の筵へ坐った方がよっぽど楽だろうと思いましたよ、――私は親に三度の物もろくに上げることの出来ないような、日本一の不孝者だ、――親不孝の晒し物になるんだと、自分で自分の心に言い聞かせて、日の暮れるのを待っていました」
訥々とした言葉に涙が交じって、自分の腸を叩きつけるように言う藤六の前に、お春も、八五郎も、平次も泣いておりました。
「それほど嫌なら、何だって断らなかったんだ」
平次はようやく本題を切り出しました。
「断ると、この妹を、あの増屋の旦那に取上げられます」
「そんな馬鹿な事はあるまい、お上というものもある、世間というものもある」
「三十両の金は、細い漁師の暮しでは返す見込みも立ちませんよ、親分」
「すると」
「三年前父親が亡くなった時、思案に余って増屋から借りた五両の金へ、利息に利息が積って、三十両になりました」
「…………」
「妹のお春を奉公によこすか、金の茶釜と一緒に見世物に顔を貸すか、二つに一つの強談です」
藤六の顔は夕陽にカッと燃えました。
「そんなら兄さん、私が奉公に行って――」
始めて事情を知ったお春は、たまりかねて口を出しました。